小児の眼疾患は、視機能の発達に重大な影響を及ぼすものが多く、早期発見と適切な治療が重要です。小児眼疾患は、屈折異常や斜視、弱視だけでなく外眼部、前眼部、中間透光体、眼底、中枢神経疾患、先天性緑内障など広範囲に渡ります。視力が発達途上にある期間に、目に何らかのトラブルが生じると、視覚がうまく発達しなくなるケースがあり、その後の人生に大きく影響を残します。自ら症状を訴えることができない小児期では、保護者がお子さんと接していて感じる顔つきや目つき、しぐさの異常が受診のきっかけとなります。片目だけが見えていない状態にあったとしても、日常生活には支障が起こらず、したがってお子様本人は何ら不都合を訴えないので、周囲の大人が気づいてあげる必要があります。お子様の目のことで、少しでも気になることが出てきましたら、早めに受診してください。このような様子に気づいたら受診してください両眼の視線が合っていない目が揺れる目でものを追わないおもちゃに反応しない涙および目やにが止まらない目を細める目にすごく近づけてものを見るよく眩しそうに目を閉じる点眼薬による近視抑制治療(リジュセア®ミニ点眼)当院では小児期における近視の進行抑制を目的とした点眼治療を行っております。この治療は参天製薬「リジュセア®ミニ点眼液0.025%」を1日1回就寝前に点眼することで、現在の近視の進みを抑制する治療法です。参天製薬とシンガポール国立眼科・視覚研究所であるシンガポールアイリサーチインスティテュートにより共同開発され、2024年12月に厚生労働省より製造販売が承認された点眼薬です。近視の進行抑制が大切な理由子どもの近視は、眼球が楕円形に伸びてしまう(眼軸長が伸びる)ことが主な原因です。近くを見ることが習慣化してしまうと近視になりやすく、一度、眼軸長が伸びてしまうと戻ることはありません。最近の調査で、近視が緑内障や網膜剥離などの眼の病気に将来かかるリスクを上昇させることが明らかになってきました。そのために小児期に眼軸長の伸びを抑えること(=近視の進行を抑制すること)はとても重要となります。リジュセアミニ(低濃度アトロピン)の効果リジュセアミニ点眼薬は、眼の奥行きを伸ばす原因となる「ムスカリン受容体」という部分に働きかけ、眼軸の伸びを抑えることで、近視の進行を抑制する効果が期待されています。リジュセアミニ(低濃度アトロピン)の特徴 日中の瞳孔(黒目)の大きさに対する影響は許容範囲ですが、まぶしさを感じる場合はサングラスを使用することでまぶしさを軽減することができます。目の遠近調節機能(手元を見る作業)にほとんど影響を与えません。そのため、近見視力の低下にあまり影響を与えず、近用の眼鏡はほぼ必要ありません。毎日必ず就寝前に 1滴点眼する治療法です。治療プログラムの流れと費用検査・薬剤費用は全て自由診療(公的医療保険の対象外)となります。治療スケジュール費用(税込)初回診察・検査費用(3,300円)+点眼薬費用(4,380円/30日分)2回目診察・検査費用(2,200円)+点眼薬費用(8,760円/60日分)3回目以降診察・検査費用(2,200円)+点眼薬費用(13,140円/90日分)※3回目の治療以降は3ヶ月毎の定期的な通院が必要です。診察・検査費用(税込2,200円)及び点眼薬費用(90日分 税込13,140円)が必要となります。※近視抑制治療が始まりますと、近視に関わる医療行為は全て自由診療となります。定期受診の間で、近視に関わる受診(眼鏡あわせ、コンタクト処方、学校検診の視力検査)を行った場合は、診察・検査費用(税込2,200円)が必要となります。近視抑制治療を辞めた場合もとの保険診療に戻ります。※点眼によるアレルギーなどの有害事象への治療なども自由診療扱いとなります※全ての検査とお薬代が自費診療となります。また、近視の病名に関しての保険診療との併用はできませんので、保険で受診の際はまた別な日に来院していただきます。ご了承下さい。注)リジュセア®ミニ点眼液0.025%による治療は自由診療です。なお、副作用等で治療を中止した場合でも、一旦処方した点眼薬については原則、返品・返金に応じることはできない旨、あらかじめご了承ください。対象となる方5歳以上治療プログラムに従った通院・定期検診が可能な方医師により適応と判断された方注意事項・現在の近視を進みにくくすることを目的とする治療です。今ある近視を治し裸眼視力を回復させるものではありません。・この治療は「自由診療」のため、保険診療と同日に行うことができません。・点眼によるアレルギーなどの有害事象への治療なども自由診療扱いとなります。よくあるご質問Q:点眼中に注意することはありますか?就寝前に点眼しても、翌日までまぶしく見えることがあります。見えにくさを感じる時は、落下の恐れがある遊具、自転車やキックボードなどは使用しないようにしてください。また、必要に応じてサングラスをかけるなど、太陽光や強い光を直接見ないようにしてください。Q:どれくらい続けるものですか?医師の指示なしに点眼を止めないでください。点眼を中止すると近視が急に進むリバウンドが生じる可能性があります。なお、治療は10代後半まで継続することが推奨されています。Q:副作用はありますか?羞明(まぶしく感じる)、霧視(霞んで見える)などの報告があります。これらの症状、その他にも何らかの異常が現れた場合には、直ちに医師にご相談ください。当院では初回には点眼薬を1箱のみ処方して副作用の確認をしています。Q:効果がない方もいますか?残念ながら効果が出にくい場合もあることが報告されています。Q:メガネやコンタクトレンズとの併用は可能ですか?可能です。コンタクトレンズを外した後に点眼してください。