緑内障とは?物を見る神経(視神経)が障害されて、見える範囲(視野)が狭くなる病気です。緑内障の自覚症状緑内障はほとんど自覚症状がないまま進行していきます。緑内障のタイプによっては、頭痛や吐き気が現れる(緑内障発作)こともありますが、多くの場合は自分では気づかないので、40歳を過ぎたら定期的に眼科の検診を受けることをお勧めします。緑内障の初期~中期は自覚症状がなく、自覚症状が出る頃には中期以降になっていることが多いです。緑内障はじわじわと見えない部分が広がっていく病気です。片方の目に見えない部分があっても、両目で見ているともう片方の目でカバーしてしまうため、見えない部分がかなり広がるまで気づかないことが多い、こわい病気なのです。40歳以上の日本人の20人に1人が緑内障日本人における中途失明原因の第1位は緑内障です。治療せずに放っておくと失明につながるおそれがあります。40歳以上の日本人の20人に1人が緑内障と推定されていますが、なんと9割の方がまだ気づいていないと考えられています。日本における中途失明原因2007年調査結果(厚生労働省調査班の調査報告書より)緑内障20.9%糖尿病網膜症19.0%網膜色素変性症13.5%加齢性黄斑変性症9.3%視神経萎縮・網脈絡膜萎縮8.6%高度近視7.8%角膜疾患3.4%白内障3.2%緑内障は早期発見、早期治療が大切40歳を過ぎたら定期検診を緑内障は視神経が障害されて、視野が欠けていく病気です。一度欠けてしまった視野は二度と元には戻らないため、手遅れになる前に治療を行い、視野進行を食い止めて現在の視野を保つ治療を開始することが大切です。緑内障は進行してはじめて気づくことが多いため、40歳を過ぎたら定期的に眼科の検診を受けるようにしましょう。緑内障の原因緑内障は眼圧の上昇等によって視神経が障害される病気です。しかし、どうして緑内障になる人とならない人がいるのか、また緑内障がどのように発症するのか、について詳しいことはまだわかっていません。眼圧が高くなる理由目の中には房水という水があり、房水は目の中でつくられては、目の外に排出されています。「房水をつくる量」と「房水が目の外に出ていく量」のバランスがくずれて、房水が目の中に過剰にたまると眼圧が高くなります。緑内障の種類開放隅角緑内障原発開放隅角緑内障正常眼圧緑内障原発開放隅角緑内障のうち、眼圧が正常範囲の緑内障日本人に一番多い高眼圧症眼圧が正常より高いが、視神経・視野に異常のない状態前視野緑内障眼底に検査上、緑内障性の異常を認めるが、視野検査にて視野異常が検出されないない状態(視野異常がでてくる前段階)閉塞隅角緑内障原発閉塞隅角緑内障慢性型と急性型(緑内障発作)があります。緑内障発作は急激な眼圧上昇にて、充血や痛みや頭痛や嘔気を起こし、速やかな治療が必要な救急疾患です。続発緑内障外傷、目の炎症など、他の目の疾患による眼圧上昇や、ステロイドホルモン剤などの薬剤による眼圧上昇によっておこる緑内障小児緑内障生まれつき隅角が未発達であることからおこる緑内障緑内障の治療通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を抑えることができるため、視野障害を進行させないためには、点眼薬などで眼圧を下げることが治療の基本となります。日本人に一番多い正常眼圧緑内障でも、眼圧を下げることにより視野の進行を抑えることができることがわかっています。治療法点眼薬による眼圧下降(房水産生抑制や房水流出促進など)通常、最も眼圧下降効果のあるプロスタグランジン(PG)関連薬の点眼が第一選択となりますレーザー治療(SLTなど)や手術による眼圧下降神経保護治療 (近未来の治療、現在開発中、一部神経保護効果のある点眼あり)院長は大学で緑内障の神経保護の研究をしていました。神経再生治療(将来の夢の治療)緑内障のレーザー治療SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)(隅角光凝固術)選択的レーザー線維柱帯形成術 (SLT: selective laser trabeculoplasty)は、点眼治療では十分に眼圧が下がらない場合、視野障害が進行してしまう場合に適した治療法です。最近では緑内障治療の早い段階で、このレーザー治療(SLT)を行う方法も報告されています。眼球の中を流れている房水は、隅角にある線維柱帯というフィルターを通って排出されます。房水の排出が悪くなると眼球の中の房水量が増えてしまい、眼圧が上がります。この治療(SLT)は房水の出口である線維柱帯にレーザーを照射し、房水の排出・障害を改善し眼圧下降をはかります。レーザー治療自体は5分程度で、通常、レーザーによる痛みはありません。合併症としては、レーザー治療後の一時的な眼圧上昇や炎症がありますが、通常は点眼薬で対処できます。この治療で眼圧が下がる有効率は70%程度、成功した場合の眼圧下降幅は約2~6mmHgとされています。また、術後ある程度の期間が経過して徐々に眼圧が上昇してきた場合には、再治療が可能です。LI(レーザー虹彩切開術)(虹彩光凝固術)急性緑内障発作を起こした場合や、発作を起こす可能性の高い眼の場合、レーザーにて虹彩の周辺部に小さな穴を開けて、 新たに房水の通り道を作ります。レーザー治療費用1割負担の方(片目あたり)3割負担の方(片目あたり)SLT約9,000円約26,000円LI約6,600円約19,800円※レーザー治療も手術となりますので各種生命保険が利用出来る場合があります。詳しくはご加入の保険会社に御確認下さい。緑内障の手術緑内障治療の基本は点眼薬による治療ですが、点眼薬でも眼圧下降が得られない場合などには、手術によって眼圧を下げる治療を行います。最近では、低侵襲緑内障手術(minimally/micro invasive glaucoma surgery; MIGS)と呼ばれる緑内障手術がでてきており、当院では流出路再建術である眼内から手術を行うトラベクロトミー手術(線維柱帯切開術)を行っております。トラベクロトミー手術(線維柱帯切開術)目の中の水分である房水は線維柱帯と呼ばれるフィルターを通った後に集合管を経て目の外の静脈へと流れ出ていきます。線維柱帯の通りが悪くなると目の中に房水がたまりすぎて眼圧が上昇します。この線維柱帯を細い器具で目の中から切開します。点眼麻酔と前房内麻酔を行い、手術時間は10分程度です。主に白内障手術と同時に手術を行っております。従来の緑内障手術であるトラベクレクトミー(線維柱帯切開術)に比べて眼圧下降効果は劣るものの、手術手順がシンプルな上にトラベクレクトミーより術後合併症が少なく、白内障手術と一緒に行うことで眼圧下降に相加効果が期待でき、また白内障手術による術後の視力改善も期待でき、術後に緑内障点眼薬の本数を減らすことできるので点眼管理が容易になる、点眼薬の副作用を減らすことができるというメリットもあり、全国で白内障との同時手術が増えてきております。手術の合併症前房出血ほぼ必発です。一過性に眼圧上昇と視力障害を起こします。出血で目の中が濁るため手術直後は一時的に視力が下がります。およそ1週間できれいになります。角膜混濁手術では目の中で操作を行うため角膜が少しダメージを受けます。もともと角膜が弱かったり、角膜に障害を与える病気がある場合や手術困難な症例では角膜機能が落ち、角膜が混濁することがあります。重症の場合は角膜移植手術が必要となります。感染症まれな事ですが、手術後に眼内で細菌が繁殖することがあります(4000~5000例に1例)。感染が高度の場合は視力障害が残ります。手術後は抗菌剤の点眼をして目の清潔を保つことが大事です。駆逐性出血(眼球内の急激な出血)手術によって眼球に切開を入れた時に高度の眼球内の出血を生じるものです。非常にまれな合併症ですが、0.05%に起こるとされています。手術費用1割負担の方(片目あたり)3割負担の方(片目あたり)単独手術約18,000円約60,000円白内障同時手術約18,000円約78,000円※健康保険証を持っている方は高額療養費制度を利用できます。1か月間の医療費が「限度額」を超えた場合、超過分が全額戻ってくる制度です。「限度額」は年齢や所得によって決まります。iStent(アイステント)を使用した緑内障手術(水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術)緑内障は眼の視神経の障害で視野が狭くなる病気です。多くの場合、眼圧が上がり、高い状態で長期間続くことが発症と進行に深く関係しています。眼圧を左右するのは房水という眼の中を満たす液体で、眼を丸い形に保つため通常は一定ですが、何らかの原因で排出が滞ると眼圧が高まります。そこでアイステントという金属の筒を眼の線維柱帯に挿入し、房水の流れを良くし、眼圧を下降させます。例えるなら交通渋滞する道路にバイパスを新しく作る感じです。アイステントは0.3mmのチタン製の金属でMRI 等の検査にも支障ありません。従来の手術に比べると圧倒的に出血が少なく、短時間ですみます。また白内障手術と同時に行えますので患者さんの身体的負担が大きく軽減できるというメリットがあります。手術費用(白内障手術+iStent手術)1割負担の方(片目あたり)3割負担の方(片目あたり)白内障同時手術約20,000円約90,000円