「白内障手術を受けることになったけれど、どのような準備が必要なの?」「当日は何をして、いつ帰宅できるの?」と不安に感じていませんか。白内障手術は、手術当日だけで完結するものではありません。事前の診察や検査、眼内レンズの選択、手術後の診察や点眼まで、一連の流れに沿って進みます。あらかじめ全体の流れを知っておくと、準備することや当日の過ごし方をイメージしやすくなります。ただし、検査内容や来院時間、食事・服薬の指示、術後の生活上の注意点は、目や全身の状態、医療機関の方針によって異なります。案内された内容を優先し、不明点は手術前に尋ねておくことが大切です。この記事では、白内障手術の適応を判断する診察から術前検査、手術当日、術後診察までを時系列で解説します。手術を控えている人や、今後の治療に備えて流れを知っておきたい人は、ぜひ参考にしてください。白内障手術の流れは診察から術後診察まで白内障手術は、濁った水晶体を取り除き、代わりに眼内レンズを挿入する治療です。一般的には、白内障の程度や生活への影響を診察で調べたうえで、術前検査と眼内レンズ選びを行い、手術日を決めます。手術そのものは10分程度で終わることが多いものの、当日は準備や術後の休憩もあるため、院内で過ごす時間はより長くなります。手術後も処方された点眼薬を続け、指定された日程で診察を受ける必要があります。全体の流れは次のとおりです。初診と手術適応の判断術前検査と眼内レンズ選び白内障手術と当日の帰宅術後点眼と定期診察術前から術後まで含めた通院回数は、7〜10回程度が一つの目安です。細かな日程や注意事項は、目の状態や手術方法、医療機関によって異なります。一般的な流れを知ったうえで、実際には医師やスタッフから渡された案内に沿って準備しましょう。白内障手術を受けるまでの流れ白内障が見つかっても、直ちに手術を受けるとは限りません。まずは見えにくさの原因や生活への影響を調べ、手術が適しているかを判断します。手術を受けることになった場合は詳しい検査へ進み、希望する見え方を踏まえて眼内レンズや手術日程を決めていきます。初診と手術適応の判断初診では、視力低下やかすみ、まぶしさなどの症状を聞き取り、目の状態を調べます。白内障以外の病気が見え方に影響していないかも確認し、手術が必要な状態なのか、定期的な診察で経過を見られるのかを判断します。白内障手術を検討する際は、視力の数値だけでなく、運転や仕事、読書、家事などにどの程度支障が出ているかも重要です。生活に不自由がなく、目の状態にも問題がなければ、急いで手術を行わない場合もあります。困っている場面を具体的に伝えることで、自分に合った治療時期を相談しやすくなります。手術前に行う術前検査手術が決まったら、眼内レンズの度数を決め、目の状態に合った手術計画を立てるために術前検査を行います。代表的な検査は、目の奥行きを測る眼軸長検査や、角膜の丸みを調べる角膜曲率検査です。角膜や網膜、視神経の状態も調べ、術後の見え方に影響する病気がないかを確認します。術前の通院は、診察と検査を合わせて2〜3回程度になることが多いでしょう。コンタクトレンズは角膜の形に影響することがあるため、検査前に一定期間外すよう案内される場合があります。持病や症状、麻酔方法などに応じて、必要な全身評価を行うこともあります。血液検査や心電図を実施するかどうかは患者さんごとに異なるため、医療機関の案内に従ってください。生活に合わせた眼内レンズ選び白内障手術で挿入する眼内レンズは、手術後の見え方に関わります。単焦点眼内レンズでは、遠方・中間・近方のどこを見やすくするかを決め、焦点が合いにくい距離は眼鏡で補います。多焦点眼内レンズや乱視矯正用の眼内レンズが選択肢になることもありますが、目の状態によっては適さない場合があります。運転、パソコン、読書、家事など、日常でよく行うことを医師に伝えましょう。「遠くを優先したい」「手元の作業を重視したい」など、希望を具体的にすることで、生活に合った見え方を検討しやすくなります。眼鏡の使用をどの程度減らしたいかについても、事前に相談しておくことが大切です。手術日程の決定と術前説明手術をすることが決まったら、術前検査と眼内レンズ選びの日程とあわせて、手術日程を決めます。両目に手術が必要な場合は、片目ずつ日をずらして行うのが一般的です。万が一のリスクを分散し、片方の目で日常生活を送れるようにするため、1週間程度以上の間隔を空けることが多くなります。手術方法や麻酔、手術中の過ごし方、起こり得る合併症、術後の通院について説明を受け、内容に納得したうえで同意書などの手続きを行います。糖尿病や高血圧などの持病がある人、ほかの診療科で薬を処方されている人は、病名と服薬内容を伝えてください。過去に薬や消毒薬でアレルギーが出た経験も大切な情報です。疑問や不安が残っている場合は、遠慮せず質問しましょう。白内障手術前日までの準備手術を予定どおり受けるためには、医療機関から案内された点眼や服薬、食事などの指示を守ることが大切です。自己判断で薬を中止したり、準備内容を変更したりすると、手術日程に影響する場合があります。案内書を早めに読み、送迎や持ち物も余裕を持って準備しておきましょう。来院前の点眼と服薬の指示感染のリスクを下げるため、手術の数日前から抗菌薬の点眼を始めるよう指示されることがあります。手術の3日前から1日4回点眼といった形で指示されるのが一般的ですが、開始日や回数は医療機関によって異なります。処方された場合は、指示された日程を守り、点眼前には手を洗いましょう。容器の先がまぶたやまつ毛に触れると汚染につながるため、目に接触させないよう注意してください。抗凝固薬・抗血小板薬や糖尿病薬を含め、服薬を変更するかどうかは患者さんごとに判断されます。自己判断で中止せず、手術を行う眼科と薬を処方している医師の指示に従ってください。現在使用している内服薬や点眼薬がわかるよう、お薬手帳も用意しておきましょう。食事・入浴・洗髪の注意点食事や水分摂取の指示は、局所麻酔のみで行うのか、鎮静薬などを併用するのかによって異なります。普段どおり食べられる場合もあれば、来院前の食事時間や量を指定されることもあります。自己判断せず、手術案内に記載された内容を優先してください。手術後は、一定期間、目に水やせっけんが入らないよう注意が必要です。そのため、前日までに入浴や洗髪を済ませておくと、術後の負担を減らせます。化粧や整髪料の使用に制限が設けられる場合もあるため、医療機関から渡された案内を確認しておきましょう。持ち物と送迎の手配当日は、マイナ保険証や診察券、同意書などの書類、服薬内容がわかるお薬手帳を準備します。処方済みの点眼薬や保護眼鏡を持参するよう案内されている場合は、前日までにまとめておきましょう。着脱しやすく、首元がきつくない服装を選ぶと、手術前後も過ごしやすくなります。散瞳薬や手術の影響で、当日は見え方が安定しない可能性があります。自動車や自転車を自分で運転して帰宅せず、家族の送迎や公共交通機関、タクシーなどを手配してください。付き添いが必要かどうかも事前に尋ねておくと安心です。白内障手術当日の流れ手術当日は、受付後すぐに手術が始まるわけではありません。体調の確認や散瞳薬の点眼、目の周囲の消毒などを行った後に手術室へ移動します。手術後には休憩、帰宅後の説明もあるため、時間に余裕を持って予定を立てておきましょう。来院と受付・体調確認指定された時刻に来院して受付を済ませた後、体温や血圧などを測り、当日の体調や服薬状況を確認します。発熱やせき、強いだるさ、目の充血などがある場合は、手術を予定どおり行えるか医師が判断するため、気になる症状を隠さず伝えてください。手術する目の左右や氏名、アレルギー歴なども複数回確認されます。安全に手術を進めるために必要な手順なので、同じ質問を受けてもその都度答えましょう。コンタクトレンズや化粧、貴金属類などの扱いは、事前に受けた案内に従います。散瞳薬などの点眼と目の消毒手術する目の瞳孔を広げるため、散瞳薬を時間を空けながら複数回点眼します。必要に応じて、麻酔薬などの点眼も行います。瞳孔が十分に広がるまでには30分から1時間ほどかかることが多く、手術前に待機時間が生じるのが一般的です。感染対策として、手術前には目の表面やまぶたの周囲を消毒します。手術中は顔に清潔な布をかけ、手術する目の部分だけを開けます。消毒薬がしみる、体勢がつらいといった違和感があるときは、無理に我慢せずスタッフへ伝えてください。局所麻酔と手術の開始白内障手術では、点眼麻酔などの局所麻酔が用いられることが一般的です。意識は保たれたままですが、手術する目は痛みを感じにくい状態になります。手術中に明るい光や色の変化を感じることはありますが、器具の細かな動きまではっきり見えるわけではありません。顔や目を急に動かすと手術の妨げになるため、医師やスタッフの案内に沿って姿勢を保ちます。痛みや強い違和感、せきやくしゃみの兆候がある場合は、急に動かず声で知らせてください。必要に応じて麻酔を追加するなどの対応が行われます。水晶体の除去と眼内レンズ挿入一般的な白内障手術では、角膜の端に小さな切開を作り、水晶体を包む袋の前面を開けます。濁った水晶体を超音波で細かく砕きながら吸引し、残した袋の中へ折りたたんだ眼内レンズを挿入します。眼内レンズは目の中で開き、所定の位置へ収まります。手術にかかる時間は10分前後が目安ですが、白内障の硬さや目の状態によって前後します。ほとんどの場合は、切開が小さいため縫合しないことが多いですが、、目の状態や手術内容によっては縫合が必要です。予定より時間がかかったとしても、直ちに異常が起きたことを意味するわけではありません。術後の休憩と帰宅手術後は、眼帯や保護眼鏡などで目を守り、院内でしばらく休憩します。体調や目の状態を確認し、問題がなければ、点眼方法や帰宅後の過ごし方、次回の診察について説明を受けます。日帰り手術では、術後の状態に問題がなければ、通常はその日のうちに帰宅します。来院から帰宅までは、待機時間を含めて2時間程度みておくとよいでしょう。帰宅後は目をこすらず、指示された範囲で安静に過ごしてください。当日は散瞳薬の影響や左右の見え方の違いが残ることもあるため、段差や階段では足元に注意が必要です。帰宅前に、術後の過ごし方を確認しておきましょう。白内障手術後の診察と回復の流れ白内障手術後は、目の状態を診察で確かめながら回復を見守ります。早い段階で見え方が改善しても、傷や目の中の炎症が完全に落ち着いたとは限りません。処方された点眼薬と通院を自己判断で中断せず、洗顔や運動なども医師の指示に沿って段階的に再開しましょう。翌日以降の術後診察術後診察は、手術翌日から始まり、その後は間隔を空けながら数か月にわたって続きます。一般的なスケジュールの目安は次のとおりです。時期主な確認内容手術翌日傷の状態、感染の有無、見え方の確認、眼内レンズの位置術後2日~1週間ごろ炎症や眼圧の変化、洗顔などの再開可否術後1か月ごろ視力の回復状況術後2~3ヵ月以降視力の安定、点眼の終了時期、長期の経過観察実際の日程や回数は、手術後の経過や目の状態、医療機関の方針によって異なります。自覚症状がなく、よく見えている場合でも、自己判断で診察を省略してはいけません。眼圧の変化や炎症などは、本人が気づかないことがあります。指定日に受診できない場合は、そのままにせず医療機関へ連絡し、別の日程を相談してください。処方された点眼薬の継続手術後は、炎症を抑える点眼薬などが処方され、必要に応じて抗菌薬を使用することもあります。点眼は数か月にわたって続けることが多く、経過に応じて種類や回数が減っていきます。薬ごとに使用回数や期間が異なるため、点眼表や説明書に沿って続けましょう。見え方が改善しても、医師の許可なく中止しないことが大切です。複数の点眼薬を使う場合は、医療機関から案内された間隔を空けてください。点眼が難しい人は、家族に手伝ってもらう方法や点眼補助具について、医師やスタッフへ相談できます。洗顔・入浴・運動と仕事の再開手術後しばらくは、目に水やせっけんが入ることや、目を強くこすることを避けます。洗顔や洗髪、入浴を再開できる時期は、傷の状態や医療機関の方針によって異なるため、許可が出るまでは清潔なタオルで顔を拭くなど、案内された方法で過ごしてください。読書やテレビなどは早い段階から可能な場合があります。一方、激しい運動、水泳などは、医師の許可が出るまで控えます。仕事については、デスクワークであれば比較的早く復帰できることが多く、力仕事や粉じんの多い環境では期間を空けるのが一般的です。運転の再開も含め、再開の目安は診察時に確認しましょう。視力の安定と眼鏡作成手術後すぐに見え方の改善を感じる人もいれば、角膜のむくみや目の中の炎症などが落ち着くにつれて、数日以上かけて徐々に見やすくなる人もいます。回復の速さは、白内障の程度や網膜、視神経の状態などによって異なります。眼内レンズの焦点が合わない距離は、眼鏡で補う必要があります。ただし、術後しばらくは度数が変化する可能性があるため、眼鏡を作る時期は医師と相談してください。視力と度数が安定したと判断された段階で作成すると、生活に合った眼鏡を選びやすくなります。数年後に起こることがある後発白内障白内障手術では、眼内レンズを支える袋(水晶体嚢)を残します。手術から数か月から数年たった後、この袋が濁って再び見えにくくなることがあり、これを後発白内障と呼びます。白内障が再発したわけではありませんが、かすみやまぶしさなど、手術前と似た症状が現れます。後発白内障は、外来でのレーザー治療によって対応できることが一般的です。手術後の定期検診が長期にわたって案内されるのは、こうした変化やほかの目の病気を早期に見つけるためでもあります。見え方が変わったと感じたら、次の診察を待たずに相談しましょう。白内障手術後に注意したい症状手術後には軽い異物感やかすみ、充血などがみられることがありますが、通常の回復過程なのか、治療が必要な異常なのかを本人だけで見分けるのは難しい場合があります。症状が強い、時間とともに悪化する、急に見え方が変わったときは、次回の診察を待たず医療機関へ連絡してください。強い痛みや悪化する充血・目やに手術当日から数日は、軽いごろつきや違和感を覚えることがあります。一方で、痛みが強い、時間とともに充血が悪化する、目やにが急に増える、まぶたが大きく腫れるといった症状には注意が必要です。感染症や強い炎症などが起きている可能性があります。処方された点眼薬を増やしたり、市販の目薬を追加したりして様子を見るのは避けてください。受診日ではない日に症状が出た場合も、手術をしたクリニックへ相談し、受診の要否について指示を受けましょう。急な視力低下や視野の異常手術後の見え方には個人差がありますが、急に視力が低下した、黒い影やカーテンのようなものが見える、飛蚊症が急に増えた、光が走って見えるといった変化には注意が必要です。網膜剥離や目の中の炎症など、速やかな診察や治療が必要な病気も考えられます。「手術後だから多少見えにくくても仕方がない」と決めつけず、いつから、どのように変化したかを医療機関へ伝えてください。一度連絡した場合は、受診の要否について案内された指示に従うことが大切です。まとめ | 白内障手術の流れを知って準備しよう白内障手術は、初診で手術の適応を判断し、術前検査と眼内レンズ選びを行ったうえで手術当日を迎えます。手術そのものは10分程度で終わることが多いものの、当日は散瞳や消毒に時間がかかるため、院内で過ごす時間には余裕をみておきましょう。術前から術後まで含めた通院は、7〜10回程度が一つの目安です。手術後は、処方された点眼薬を続け、指定された日程で診察を受けることが大切です。洗顔や入浴、運動、仕事の再開時期は目の状態によって異なるため、医師の指示を優先してください。強い痛みや悪化する充血、急な視力低下などがある場合は、次回の診察を待たず医療機関へ連絡しましょう。当院では、白内障の診察や術前検査、眼内レンズのご相談から手術後の経過観察まで対応しています。手術の流れや準備について不安なことがある方は、お気軽にご相談ください。記事監修・執筆:院長 医学博士 堤 孝之(眼科専門医) ※当院の診療方針や医師の詳しい経歴については 院長紹介ページ をご覧ください。